低予算勢い系 PV ワークフロー

 先日行った撮影〜編集があまりに勢い勝負で面白かったのでメモ。案件としてはアーティストさんの 1st アルバムの店頭用プロモーションビデオ。なんか突然持ち上がったらしくスケジュールは全然無し。当然計上予算無し。アルバム収録曲を編集した3分程度のダイジェストに映像を付けたいが、既存のミュージッククリップ等は無いので、何らかの新規の映像を用意しなければならない。ともかくアーティストさんの映像を撮影しなければならないのだが、諸々のスケジュールの都合もあり、碌に打ち合わせもせぬまま代々木公園でイメージっぽい映像だけでも撮ろうということに。そして撮影前日、翌日の天気は朝から雨の予報、そして…代々木公園の撮影申請が通っていない事を知る…。

 「こりゃぁ詰んだか?」と思ったが、アーティストさんのスケジュールは押さえてあるので、何でもいいからとにかく画を撮ろうということに。しかも雨なので室内で。とは言え今日の明日でスタジオを押さえるのは難しい。あ、そもそも予算が無いんだった…。ともかく当日クライアントさんの事務所に集合。この事務所内で撮るしかない。とは言えV系のアーティストさんなので、オフィスの白壁の前で撮ってもどうしようもない。そこで持ち込んだのが、以前 Digital Juice で購入した、ポータブルブルー/グリーンバックスクリーンの Chroma Pop。こいつを使って、全てクロマキー合成でやってしまおうというゴリ押し作戦。

 撮影機材は、カメラは先方の事務所にあった SONY HDR-FX1。初の 1080i HDV 機! しかし重い! 照明も同じく先方事務所にあったものを拝借。いわゆる羽の付いたビデオライトでは無く、サブライトみたいな、なんていうの? 蛍光ランプの、クールライト? そんなのが2灯。でもグリーンバックに均等に光を当てるにはいいかも知れない。あとマンフロットだかザハトラーだか忘れたけど三脚。あと Chroma Pop。そこに、MacBook Pro と4メートル の FireWire ケーブルを持ち込んで、HDV の信号を Adobe OnLocation でキャプチャしつつ、Adobe After Effects でキーの抜け具合の確認もする。撮影にかかった費用は、アーティストさんの足代とメイクさんとケータリング代くらいか? 幸い Vo + G のミニマムなユニットなので、それぞれ曲に合わせてそれっぽく口パク手パクを数パターンしてもらって無事収録完了。後は編集!

 HDV の MPEG-2 ファイルは編集作業には向かないので、これを一旦編集し易い中間コーデックに変換する。ここはやはり ProRes 422 が良いと思ったが、Adobe OnLocation でキャプチャした HDV の生の m2t ファイルは QuickTime では扱えない(もちろん Adobe Premiere や After Effects では OK だけど)。バッチで一括変換しようと思っていた Sorenson Squeeze でもダメだった。そこで仕方なく… MPEG Streamclip で! このソフトウェアは非常に素晴らしく、m2t ファイルも平然と扱え、QuickTime や AVI 等での書き出しも行える上にバッチ処理にも対応している!

追記:MPEG Streamclip による MPEG-2 の扱いは、QuickTime の「MPEG-2 再生コンポーネント」を介してだった。

MPEG2onMPEGstreamclip.png
MPEG-2 再生コンポーネントが入っていないシステムで m2t を開いた場合

 てことで m2t を ProRes 422 HQ に変換。「合成に ProRes 422 …!?」という向きもあるかも知れないが、なんせ元が HDV の 4:2:0 なので気にしない。元ファイル 25Mbps が 220Mbps 程に増量。それでもシークは HDV より速い。

 あとは After Effects に突っ込んでひたすらキーイング&コンポジット&カラコレ&編集作業。キーイングは Key Correct Pro + Keylight で行う。Primatte Keyer Pro も欲しいけど、前者の組み合わせでも特に不満は無いし使い方も簡単なのでこれで十分! いや…またどっかでセールでもやってたら買いたいかも…。まぁともかく、定石通り Key Correct Pro の Deartifactor でブロックノイズを軽減して、Smooth Screen でグリーンスクリーンの緑色を均一化。Keylight で抜いて Clip Black / White なんかを調整。幸い V 系ってことで全編ダークなイメージにするので、あまり細部にはこだわらなくても大丈夫! 完パケは SD の DVD-Video なので、コンポジションにカメラと抜いたフッテージを 3D レイヤーとして配置して、背景のフッテージも 3D レイヤーで人物の奥に配置。3D カメラを動かして、コンポの中でカメラワークを作る。そして画調・色調を調整して合成を馴染ませ、Magic Bullet Looks で曲毎にイメージを大胆に変え、各種ストック素材やらジェネレータ系プラグインやらでオカズを足す。グランジな効果を手っ取り早く付ける手段として Video Copilot Twitch が重宝した。

 てことで無事納品完了。仕上がり的には、とてもその辺の事務所で撮ったとは思えない感じにはなったと思う。こういうのが(ビデオ&音楽)業界的に良いか悪いかは微妙なところだとおもうけど、個人的には楽しいので嫌いじゃない。画像は無し!

One Response to “低予算勢い系 PV ワークフロー”

  1. RGB Treatment - bookmark:090721 Says:

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